抄録
症例は77歳, 女性。脳梗塞, 心房細動にて近医入院中, 腹部膨満, 右下腹部を中心とした腹痛, 発熱を認めたため, 麻痺性イレウスとして保存的加療していたが症状軽快せず, 当科紹介となった。腹部CT, MRI上, 胆嚢床に胆嚢は認められず, 肝門部に渦巻き様構造を認めた。また回盲部に, 内部に液体貯留を伴う厚い壁に囲まれた管腔様構造を認めた。胆嚢軸捻転症と診断し, 緊急手術を施行した。開腹すると胆嚢管から頸部にかけて捻転しており, 胆嚢底部は巨大な膿瘍を形成し, 右下腹部まで及んでいた。周囲との癒着は強く, 可能な限り剥離し胆嚢摘出術を施行した。術後は順調に経過し, 18日目に前医に転院となった。