抄録
57歳男性が階段から転落し左側腹部を打撲。その後上腹部痛が増強し3日後に救急搬送された。腹部CT検査などにて腹腔内遊離ガス像と胃壁の肥厚を認め外傷性胃破裂が疑われた。受傷後3日経過していることと, 腹膜刺激症状が限局していたことから保存的治療を継続した。胃透視と胃内視鏡検査にて胃体下部小蛮後壁破裂の確定診断を得た。破裂部の治癒過程は内視鏡にて経時的に観察し得た。経過中腹腔内膿瘍形成を認めたが, 経皮的ドレナージにて軽快した。外傷性胃破裂の治療は観血的整復が原則とされるが, 非観血的治療にて治癒した症例を報告した。