抄録
腹部内臓動脈瘤は破裂すると大量出血により死に直結する重篤な疾患である. 特に仮性動脈瘤は外傷や感染, 膵炎などの炎症性疾患に加え最近では手術や穿刺術などの合併症として増加している. われわれは8例の動脈瘤破裂症例を経験し, その内7例に対してコイルを主体としたTAEを行った. その結果TAE7例全例に止血が得られ, 6例 (86%) は救命された. IVRそのものの合併症は認めなかった. 動脈瘤破裂における死亡率は高く, 手術治療成績も不良であることからTAEが低侵襲で有効であり, 治療としては第一選択と考えられた. 動脈瘤破裂の緊急事態に際しては, 早急に血管撮影で確定診断し, 同時にTAEで止血術をすることが望ましい. また手術的治療が必要な場合も一時的にTAEで止血を得て循環動態を安定させた上で治療に移ることが予後の改善に役立つと考えられた.