日本腹部救急医学会雑誌
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腹部鈍的外傷に対するIVR
大森 浩明旭 博史井上 義博入野田 崇遠藤 重厚斎藤 和好
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キーワード: 腹部鈍的外傷, IVR, TAE
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2003 年 23 巻 4 号 p. 607-612

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抄録
画像診断の進歩とともに, 救急医療におけるinterventional radiology (IVR) の重要性は高まっており, 今や不可欠の分野となっている. 本稿では腹部鈍的外傷, とくに肝・脾・腎損傷, 多臓器損傷に対するtranscatheter arterial embolization (TAE) を中心としたIVRの適応, 方法について, 自験例を交えて述べる. TAEは循環動態の安定が得られた, 単独の実質臓器損傷に対する第一選択の治療法として考慮されるべきである. また, “damage control”の概念を拡大して, TAEと手術を併用して治療を行うことも行われている. しかしながら, 適応を拡大しTAEにこだわるあまり, 逆に侵襲を拡大しIVRの本来の意義を損なうといった問題も懸念されている. また, 腹部鈍的外傷は多発外傷を合併している場合が少なくなく, 治療の決定には, 局所の理学所見や画像所見のみならず, 全身状態, 出血傾向なども考慮に入れることが重要である.
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