日本腹部救急医学会雑誌
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閉鎖孔ヘルニア11例の経験
西島 弘二湊屋 剛伊藤 博黒阪 慶幸竹川 茂桐山 正人道場 昭太郎小島 靖彦
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2004 年 24 巻 4 号 p. 795-800

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抄録

過去8年間に11例の閉鎖孔ヘルニア手術例を経験したので臨床的に検討を加えた. 症例は全例痩せた女性で, 年齢は66~91歳 (平均82歳) と高齢者が多かった. 開腹手術歴を有する症例は9例と多く, 全例が嘔吐, 腹痛を主訴とするイレウスで発症し, 閉鎖孔ヘルニアに特徴的とされるHowship-Romberg徴候は4例のみに認めた. 発症から手術までの期間は1~12日 (平均4.3日) で, 全例骨盤CT検査にて閉鎖孔ヘルニアの確定診断を得た. 全例開腹手術を行い, 嵌頓腸管は回腸10例, 空腸1例で, 嵌頓形態はRichter型9例, 全係蹄型2例であった. 腸管壊死を6例に認め, 腸管切除は8例に行った. ヘルニア門の修復は腹膜単純閉鎖を8例, 恥骨骨膜と閉鎖膜の縫合を2例, メッシュによる閉鎖を1例に行った. くも膜下出血で死亡した1例を除いた10例では, 術後経過は良好で軽快退院し, 再発は認めていない. 痩せた高齢女性のイレウス患者では, 閉鎖孔ヘルニアの可能性を念頭に置き, 骨盤CT検査による早期診断が重要であると考えられた.

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