抄録
症例は52歳, 男性.十二指腸潰瘍で, 幽門側胃切除 (Billroth-II法, 結腸後再建, Braun吻合あり) を行った.術後23日目から腹痛, 嘔吐の症状が出現し, 25日目には汎発性腹膜炎症状となった.CT, 超音波で拡張した輸入脚がみられ, 胃切除後の輸入脚閉塞症の診断で開腹手術を行った.Treitz靱帯とBraun吻合の問に索状物があり輸入脚が捻転し, 十二指腸断端は穿孔していた.輸入脚の捻転を解除し, Braun吻合から20cmの肛門側に空腸瘻を作製しサンプ・チューブをBraun吻合経由で輸入脚に留置した.術後経過は良好で再手術後38日目に軽快退院となった.十二指腸をdryfieldにする本法は推奨すべき術式と考えられた.