日本腹部救急医学会雑誌
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腹部鈍的外傷による小腸穿孔におけるCT上の腹腔内遊離ガス像とその意義
長谷川 聡森脇 義弘荒田 慎寿山本 俊郎杉山 貢
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2004 年 24 巻 7 号 p. 1115-1119

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抄録

1990年1月より2000年6月までに当センターで開腹手術が行われた鈍的外傷による空腸・回腸穿孔26例40病変について, CT上の腹腔内遊離ガス像の出現を検討した。19例のべ21回のCT撮影が行われ, 腹腔内遊離ガス像は6例 (32%) に認められた。受傷後の時間経過との関係では受傷4時間以内は13%, 4~12時間では75%, 24時間以降では100%に認めた。予後に関しては, 死亡例は出血性ショックなどの小腸穿孔以外の理由で受傷早期に開腹されていた例が多く, 受傷から手術までの時間と予後とは単純には比較できなかった。鈍的外傷による空腸・回腸穿孔は, 初期治療での確定診断は困難であるが, 受傷後12~24時間の厳重な経過観察とこの時点でのCTによる再評価が重要で, この時間遅延での予後の悪化はないと考えられた。

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