2005 年 25 巻 4 号 p. 673-677
肛門周囲膿瘍にて発症した内攻型Fournier症候群の2例を報告した。症例1, 60歳男性。発熱, 肛門周囲痛にて発症。近医にて肛門周囲膿瘍の診断で切開・排膿術が施行された。CTにて腹直筋背側および左腸腰筋腹側から骨盤腔および坐骨直腸窩に連続する膿瘍を認め, 当科で再手術を施行した。骨盤腔, 後腹膜は経腹壁腹膜外アプローチにより, 会陰側は直接的にドレナージ, デブリードマンを行い, 横行結腸瘻を造設した。第52病日退院し, 17ヵ月後に人工肛門を閉鎖した。症例2, 79歳男性。下腹部痛と会陰部痛にて発症。近医にて肛門周囲膿瘍の診断で切開・排膿術が施行された。CTにて腹直筋背側から骨盤腔および坐骨直腸窩, 右磐部・大腿に及ぶ膿瘍を認め当科で再手術を施行した。骨盤腔, 後腹膜は経腹壁腹膜外アプローチにより, 会陰, 磐部, 大腿は直接的にドレナージ, デブリードマンを行った。第8病日に横行結腸瘻を造設, 第76病日転院した。