日本腹部救急医学会雑誌
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初回発症後1年9ヵ月で反対側発症をきたした異時性両側閉鎖孔ヘルニアの1例
異時性両側閉鎖孔ヘルニア本邦報告8例の臨床的検討
境 雄大須藤 泰裕
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2006 年 26 巻 5 号 p. 663-667

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抄録

症例は79歳の女性で, 腹痛・嘔吐を主訴に近医を受診した. イレウスの診断にて5日間の保存的治療を行った後, 症状の改善がないため, 当科に入院した. 1年9ヵ月前に左閉鎖孔ヘルニアにて開腹術, 3ヵ月前に脳梗塞を発症し2ヵ月間の入院治療歴を有していた. 腹部骨盤CT検査にて右恥骨筋と右外閉鎖筋の間に腫瘤を認め, 右閉鎖孔ヘルニアと診断した. 開腹すると回腸が右閉鎖管にRichter型に嵌頓し, 壊死を認めたため, 腸切除を行った. ヘルニア門は1.7cmに開大していたため, メッシュプラグ法により閉鎖した. 術後のメッシュ感染, プラグによる圧迫症状なく良好に経過し, 術後17日目に退院した. 閉鎖孔ヘルニアの手術歴を有するイレウス患者の診療においては異時性両側発症も念頭に入れ, 早期診断を行うことが重要である.

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