日本腹部救急医学会雑誌
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大網裂孔ヘルニアの1例
国末 浩範横山 伸二金谷 欣明
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2006 年 26 巻 5 号 p. 659-662

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抄録

症例は66歳, 男性. 開腹歴はなし. 2005年5月中旬突然腹痛が出現し, 旅先の病院に救急車で搬送され入院した. 保存的に経過をみられていたが腸閉塞が出現してきたため5日後, 患者の地元である当院に紹介され入院となった. 腹部CTでは中等量の腹水貯留とともに腸閉塞と腸間膜動静脈の収束像がみられ, 絞扼性イレウスと診断した. 同日, 緊急手術を施行した. 腹腔内には血性腹水950mlを認めた. Treiz靭帯より40cm肛側からBauhin弁より20cm口側に至る小腸が大網裂孔に嵌入し絞扼され赤色浮腫状を呈していた. 裂孔部を開放し絞扼解除を行うと小腸の色調が回復し, 腸切除は施行しなかった. 術後創感染を生じたがその他は順調で第36病日に退院した. 大網裂孔ヘルニアはまれな疾患であり報告する.

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