日本腹部救急医学会雑誌
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CTで診断し, 救命し得た壊死型虚血性腸炎の1例
岡本 貴大森 隆田村 竜二門脇 嘉彦坂田 龍彦
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2006 年 26 巻 5 号 p. 673-677

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抄録

壊死型虚血性腸炎は虚血性腸炎の10~20%の割合で認められており, さらにその死亡率は30~50%前後と高いのが現実である. 今回われわれはショック状態で緊急手術を施行し救命できた1例を経験した. 症例は83歳, 女性で前日の夕方より腹痛・嘔気で近医受診し入院して経過をみていた. しかし翌日早朝にショック状態となり当院に転院となった. 来院時現症は腹部全体に圧痛は認めたものの, 筋性防御は軽度であった. CTで虚血による結腸穿孔からの急性汎発性腹膜炎と診断し緊急手術となった. 術中所見は上行結腸から下行結腸まで壊死しており, それらすべてを切除した. 術直後もショック状態であったが, エンドトキシン吸着 (polymyxin Bimmobilized fiver column) を施行後状態は徐々に改善し, 術後19日目に退院した. 壊死型虚血性腸炎は死亡率も高いため早期診断, 早期手術, PMXなどを速やかに施行することが予後を良くすると考えられた.

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