日本腹部救急医学会雑誌
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腹腔穿刺と腹腔鏡検査が診断に有効であった外傷性胆嚢単独損傷の1例
家接 健一清原 薫大和 太郎藤森 英希野崎 善成浅海 吉傑小杉 光世
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2006 年 26 巻 5 号 p. 679-682

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抄録

まれな外傷性胆嚢単独損傷の1例を経験した. 症例は73歳・男性. 仕事中に屋根より落下し, 直後より一過性の四肢麻痺になったため, 近医で大量のステロイド投与を受けた. 受傷3日目から腹痛が出現し, 5日目も持続するため腹部CT検査を受け, 肝周囲に液体貯留を認めた. 穿刺で胆汁性腹水であったため, 胆汁性腹膜炎と判断し緊急手術を決定した. 胆道損傷のほかにステロイドが原因の上部消化管の潰瘍穿孔も疑われたため, 診断確定のため手術に先立ち腹腔鏡検査を行った. 胆嚢穿孔を認めたが, さらにほかの胆道損傷がないことを確認する必要があると考え, 開腹術に変更した. ほかの臓器損傷がないことを確認後, 胆嚢摘出術を行った. 外傷性胆嚢単独損傷はまれな上に, 術前診断は困難な場合が多い. 自験例では腹腔穿刺と腹腔鏡検査が, 診断に有用であったと考えられた.

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