2006 年 26 巻 7 号 p. 821-824
〈目的〉腹部内臓動脈瘤は比較的まれな疾患であるが, 迅速で確実な治療法が求められる. 今回われわれは, 当該病変に対する治療方針を中心に検討した. 〈対象と方法〉最近10年間に経験された18例19瘤を対象とし, 発生部位や治療法, 成績について評価した. 発生部位は脾動脈8例, 上腸間膜動脈4例, 肝動脈2例, 膵十二指腸動脈2例, 胃十二指腸動脈1例, 腹腔動脈1例, 腹腔・上腸間膜動脈奇形1例であった. 治療法の内訳はコイル塞栓術11例, 開腹手術6例, 腹腔鏡下手術1例であった. 〈結果〉周術期の重篤な合併症や手術死亡は認められなかった. 経過観察期間は4ヵ月から8年9ヵ月であったが, 瘤の再発などは認めていない. 〈考察と結語〉治療法の選択は, より低侵襲な手技から選択されるべきであり, 血管内手術が主流となりつつある. しかし, 瘤の占拠部位や形状によっては, 外科的血行再建術も求められる. 一方, 瘤が嚢状で血流温存が可能な症例では, 腹腔鏡下手術も適応となる.