日本腹部救急医学会雑誌
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癒着性イレウスに対して高気圧酸素療法を行った92例の臨床経験の検討
笹屋 高大早川 直和山本 英夫澤崎 直規山本 竜義高良 大介梛野 正人二村 雄次
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2006 年 26 巻 7 号 p. 825-828

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抄録

術後の癒着性イレウスは, 保存的な解除が望ましく, 当院では高気圧酸素療法 (HBO) を施行し良好な結果を得ている.1998年1月から2003年12月までにHBOを施行した術後癒着性イレウス92例について分析し, その有効性を検討した.男性65人, 女性27人で平均年齢は63.1歳であった.イレウスが解除されたらHBOを終了した.イレウス解除例は78例 (84.8%) で, HBOの平均施行回数は4.7回 (1~14回) であった.症例によっては胃管・イレウス管を併用しながらHBOを行い, 胃管・イレウス管併用は23例, 使用しなかったのは55例であった.また, HBO無効例は9例あり, 7例にイレウス解除術, 2例にイレウス管挿入が必要であった.耳痛のため1回でHBOを中止したのは5例であった.術後癒着性イレウスに対して, 副作用は32例にみられ, ほとんどが軽度の耳痛のみで重篤なものはなく, HBOは安全で有用な治療法であると考えられた.

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