2006 年 26 巻 7 号 p. 835-840
1995年~2005年の胃十二指腸潰瘍穿孔152例を検討した. 内視鏡で診断し, 経鼻胃管を挿入して制酸剤と抗生剤を投与した. 胃潰瘍穿孔47例で, 緊急手術13例, 保存治療の完遂28例, 手術移行6例, 保存治療の完遂率82% (28/34例) であった. 十二指腸潰瘍穿孔105例で, 緊急手術17例, 保存治療の完遂77例, 手術移行11例, 保存治療の完遂率88% (77/88例) であった. 65才以上の症例では, 緊急手術11例, 保存治療の完遂19例, 手術移行6例, 保存治療の完遂率76% (19/25例) であった. 手術移行した群は保存治療を完遂した群と比べ, 年齢が有意に高く, 経過時間, 腹水量, 穿孔径には差がなかった. 体温と白血球数は, 手術移行した群で徐々に悪化した.平均在院日数は手術移行した群が22. 8日で, 保存治療を完遂した群の11.2日より有意に延長した. 転帰は緊急手術の87%, 保存治療の97%が最終的に改善し, 安全に遂行し得た. 以上のように保存療法を始めとする治療成績はおおむね良好であり, われわれの行ってきた治療方針は妥当なものと考えている.