日本腹部救急医学会雑誌
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急性腹症として発症したSchoenlein-Henoch紫斑病の1成人例
坂本 好昭岸川 浩長村 愛作西田 次郎貝田 将郷井口 清香荒川 幸喜川島 淳子高橋 慎一森下 鉄夫
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2006 年 26 巻 7 号 p. 867-871

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抄録

症例は25歳, 女性。2005年6月に下腹部に激痛を認めたため入院となった。感染性腸炎と診断し1週間の禁食補液での保存的な加療にて退院した。退院後より四肢に紫斑が出現し, その後嘔気と頻回の下痢・血便および腹痛を認めるようになり精査加療目的にて再入院となった。腹部CTでは小腸および結腸全域に腸管の浮腫性変化を認めた。下部消化管内視鏡では直腸からS状結腸にかけてアフタが散在していた。また経過中に尿蛋白を認めたため腎生検を施行したところ, 紫斑病性腎炎に矛盾しない所見であった。以上より成人発症のSchoenlein-Henoch紫斑病と診断しプレドニゾロン30mg/日を開始したところ, 症状は軽快した。小児科領域では急性腹症の鑑別疾患として本症はあげられているが, 成人例において腹部症状を主訴とした報告例はまれである。成人において急性腹症の鑑別の際にまれではあるが本疾患の可能性も考慮する必要があり, 示唆に富む症例と考えた。

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