日本腹部救急医学会雑誌
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術前診断し得た小児胆嚢捻転症の1例
山口 哲司福田 啓之大西 康晴山岸 文範廣川 慎一郎塚田 一博
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2006 年 26 巻 7 号 p. 873-876

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抄録

症例は9歳の男児。上腹部痛を主訴に近医を受診した。保存的に経過観察されたが嘔吐が出現し, 腹痛も増悪したため精査・加療目的に当科紹介入院となった。腹部US, CTにて, 胆嚢の腫脹・壁肥厚・頸部の腫瘤像を認め, カラードップラーにて胆嚢壁内の血流を認めなかった。また磁気共鳴式胆道膵管造影 (MRCP) にて胆嚢の内側偏位, 胆嚢管の不鮮明化を認めた。以上より胆嚢捻転症と診断し, 開腹術を施行した。手術所見では胆嚢は頸部を軸に反時計回りに540度回転しており, 壊死に陥っていた。胆嚢摘出術を施行し, 合併症なく術後7日目に退院した。小児期に発症する胆嚢捻転症はまれな疾患である。本邦では10歳以下の小児では29例の報告があるのみであり, 術前診断も困難な疾患と考えられている。本症例では術前診断が可能であり, とくにMRCP・カラードップラーエコーが有用であった。

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