日本腹部救急医学会雑誌
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胃癌術後の腸閉塞に続発した急性無石性胆嚢炎の1例
岡村 行泰
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2006 年 26 巻 7 号 p. 905-909

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抄録

症例は71歳, 男性。2005年4月下旬, 腹部膨満感と痛みを主訴に来院し, 腸閉塞と診断され入院した。2年前に胃癌で胃全摘術の既往がある。腸閉塞は絶食により改善し, 第5病日から経口摂取を開始した。その直後より発熱を認め, 抗菌薬治療を行ったが, 改善なく, 第8病日にショック状態となった。同時期になり上腹部痛を訴え, CTで胆嚢の緊満を認めたため, 胆嚢炎の診断で経皮経肝胆嚢ドレナージ術 (percutaneou stranshepatic gallbladder drainage以下, PTGBD) を施行した。エンドトキシン吸着血。液浄化法, 持続的血液濾過透析を併用し, 治療を行った。PTGBD造影では胆嚢結石, 総胆管結石は認めず, 7月頃より全身状態は改善し, 経口摂取を開始した。PTGBDを抜去した後, 8月中旬, 退院となった。急性無石性胆嚢炎の発症頻度は少ないが, 発症すると急激に重症化しやすい。胃癌術後の腸閉塞例では本症に留意する必要があると思われた。

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