本研究は,小学一年の算数の授業における指導過程についてのメタ認知の共有に関する調査である。1ヶ月教育実習を行ってきた学生の授業をビデオ録画し,その中から円滑な進行が途切れた6つの場面をエスノメソドロジーの相互行為分析の手法を用いて質的に分析した。その結果, 6つの場面は沈黙,ざわつき,オーバーラップ,教師の発話への割り込みを含んでいた。最初の3つの場面は,子どもの指導過程についてのメタ認知的予測を教師が把握できなかったことに起因し,後の3つの場面は,教師の指導過程についてのメタ認知を子どもが所有していなかったことに原因があった。分析後に,授業者,ベテラン教員2名,授業者を指導する大学教員の4名による授業検討会を行い,指導過程の改善策と教師に必要な実践的指導力について議論した。