本研究では,高等学校共通教科情報科において,写真の分析を通してメディア・リテラシーの基本概念(OISE 2009)を学ぶ学習指導を行い,学習者が作成した振り返りシートの分析を行うことで,学びの意識を明らかにすることを目的とした。分析の結果,振り返りシートには,基本概念1「メディアは『現実』を構成する」,2「オーディエンスがメディアの意味を解釈する」,および5「それぞれのメディアがそれぞれの伝え方で情報を伝えている」に関する記述,さらに「メディアへの批判的思考」や「メディアによるコミュニケーション」の記述があり,写真分析を通してこれらを培うことができることが明らかとなった。これらから,学習指導要領の「メディアの特性」に加え,「リプレゼンテーション」や「発信者の意図」も学ぶことができることが示唆された。その一方,2と5の両方の記述は多かったが,3「メディアは商業的・社会的・政治的意味をもつ」・4「メディアはイデオロギーや価値観を伝える」の記述が少なかったことから,社会的背景やイデオロギー・価値観等を学ぶ際には,それらを中心とした学習指導や発問作成等を含めた授業設計が求められることが示唆された。
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