2012 年 18 巻 1-2 号 p. 49-56
本稿の目的は、従来のメディア活用研究の限界を指摘し、社会文化的アプローチの立場で、教育メディア研究を捉え直すことを主張することである。まず、本学会の歴史を振り返り、時代の変化に合わせた研究スタイルが求められることについて説明する。つぎに、従来の教育メディア研究は、「メディア利用」や「メディア批判」が主流であったが、教育を条件付ける仕組みそのものをメディアと捉える新しい視点を提示する。さらに、これまでの研究の問題点を指摘し、社会文化的アプローチがメディア概念を拡張し、活動システムとして教育を捉えることの重要性について言及する。最後に、新しいアプローチについて学会の中で共通理解を得ることと、それを支える規則を修正する議論を持つことを提案する。