抄録
本研究の目的は,ソーシャルメディアを活用して来館者の視点(着眼点や疑問点)を展示の説明に取り入れた写真展を評価することである.社会教育施設において,展示に関する情報を来館者に効果的に伝えることを重視する従来の展示方法を見直し,来館者自身が展示の意味を自分なりに解釈する機会を作り上げる具体的な方法が検討されている.本研究では,その取り組みとしてソーシャルメディアのひとつFacebookを活用して,来館者の視点(着眼点や疑問点)を可視化して展示の説明に取り入れると同時に,それを他の来館者と共有して共同的に展示会を作る実践を行った.京都の大学で実施した西アフリカに関する写真展を事例とし,来館者がSNSを通し自らの視点を言語化し,それを他の来館者と共有することで展示を解釈するための新しい視点を得ることができたかを明らかにした.