抄録
情報モラル指導法に関する指導を行う際の留意点を検討するために,2016年度に大学1,2年生であった教員養成課程の学生(以下,学生)を対象に,小中学生に指導すべきだと考える情報モラルの学習内容に関する調査を行った。その結果,学生が小中学生に指導すべきだと考える情報モラルの学習内容は,学生の生活の経験や情報モラルの学習経験と関連があり,具体的な考え方やそれに基づいた行動が示されていないことが多いことや,学生は,「公共的なネットワーク社会の構築」を自分の問題として認識しにくいことが示された。したがって,学生に情報モラル指導法に関する指導を行う際の留意点として,①学生の生活の経験や情報モラルの学習経験を踏まえること,②「公共的なネットワーク社会の構築」を意識的に指導すること,③細分化されたカリキュラムを提示し,学生が小中学生に指導すべきだと考える情報モラルの学習内容には細分化の余地があることを気づかせる必要があること,の3点が示唆された。