日本救急看護学会雑誌
Online ISSN : 2189-6771
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救急看護師が外傷看護実践において重要視している看護に関する研究
中井 夏子中村 惠子菅原 美樹
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2015 年 17 巻 1 号 p. 9-21

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抄録

救急看護師が外傷看護実践において重要視している看護を明らかにすることを目的に、5年以上の実務経験がある救急看護師9名に半構成的面接を行った。面接内容は基本的属性と対象者が経験した外傷患者の看護実践などで構成し、分析は質的記述的研究法を用いて行った。結果、【病態予測に基づく最悪の事態に備えた準備】【受傷部位の重点的な観察と全身観察を兼備した専門的な観察】【診療の進行に沿いつつ主体的な判断に基づいた行動】【患者のニードの把握と代弁者としての関わり】などの外傷患者への看護実践12カテゴリ、【家族の心理プロセスに沿った情緒的支援】【家族がもつ患者像のイメージを維持する援助】【患者・家族の今生の別れとなる対面の機を逃さない関わり】などの外傷患者の家族への看護実践8カテゴリ、【喧騒した診療の場で円滑な進行を行うための役割分担】【多職種とのコミュニケーションと人間関係の構築】などの外傷医療チームにおける看護実践4カテゴリが抽出された。これらは、搬入前から社会復帰までの時間軸で構成されており、外傷初期の場面における看護実践と外傷初期以後から社会復帰に向けた場面における看護実践、外傷初期から社会復帰に向けた場面まで継続された看護実践の3つの局面に区分された。以上より、救急看護師が外傷看護実践において重要視している看護の全体像が具象化され、外傷看護独特の看護の特徴として、患者像のイメージを維持し家族の心的外傷に配慮するなどの家族ケアが見出された。

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© 2015 一般社団法人日本救急看護学会
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