抄録
本研究は、クリティカルケア領域において死別経験をした家族が、どのような故人の死の意味づけを行っているのか明らかにすることを目的とした。方法は、救命救急センターまたは集中治療室で死別経験をした16名の家族を抽出し、複雑性悲嘆を示さない8名から死別2〜3カ月後に半構成面接を実施しデータを収集した。分析は、ライフストーリー分析を参考に質的帰納的に行った。語られたライフストーリーから〔故人自身の死の認知〕〔故人への関わり〕〔代理意思決定経験の捉え方〕〔医療に対する信頼〕〔他者の視点〕〔死別への思い〕の6カテゴリーが抽出された。家族は、過去を振り返りながら、さまざまな場面のなかに〔故人自身の死の認知〕を見出していた。そして、〔故人との関わり〕に達成感や心残りを抱いていた。家族の〔代理意思決定経験の捉え方〕はさまざまであるが、決断には医療者の提案が強く影響しており、同時に、〔医療に対する信頼〕を抱いていた。家族が故人の「死」を評価するには、〔他者の視点〕という日本人の死生観が影響していると考えられる。家族は、さまざまな〔死別への思い〕を抱きながら、死の意味づけを行っている。そして、死別後もさまざまな場面に故人とのつながりを見出している。遺族は、各カテゴリーを統合しながら、故人との歴史を振り返り、評価した結果として死の意味づけを導き出すと考えられる。