日本救急看護学会雑誌
Online ISSN : 2189-6771
Print ISSN : 1348-0928
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クリティカルケア領域における役割拡大に関する看護師の認識
髙崎 亜沙奈
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 19 巻 2 号 p. 21-29

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抄録

本研究の目的は、クリティカルケア領域の「診療の補助」業務において、包括的指示の下での役割拡大に関する看護師の認識を明らかにすることにより、看護の視点に基づいた医療行為のアプローチを確立し、看護の専門性の明確化を図ることである。研究デザインは、木下が提唱する修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた。各医療施設の倫理委員会で承認を得て実施した。研究参加者は、クリティカルケア部門のあるA県内3施設で、クリティカル領域経験が5年以上の看護師で研究の主旨を理解し研究協力に同意を得た看護師11名である。研究結果として、37個の概念から次の9個のカテゴリー【救命のための最大努力】【医師と看護師が協働しての早期診断・治療が早期回復を促すメリット】【看護師が医行為を行うことに伴う怖さやリスク】【経験と学習からくる自信】【看護師協働の判断で怖さやリスクを回避する】【看護師の判断が患者の回復を促進する】【看護師の役割拡大が自己効力感を高める】【看護師本来の役割を確認する必要性】【看護師の役割拡大の課題】が生成された。クリティカルケア領域の看護師は、役割拡大に怖さやリスクを感じながらも、経験や学習の中でその回避策を身に着け、患者回復への効果を期待していた。患者の回復が看護師の喜びとなり、看護師の自己効力感を高める可能性を秘めていた。今後は、国や各医療施設が、法の整備や教育・安全管理体制の整備をしていく必要があることが示唆された。

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© 2017 一般社団法人日本救急看護学会
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