抄録
研究目的:本研究の目的は、家族が生命危機状態に陥った看護職者の精神的危機状態の特徴を明らかにすることである。併せて、家族が生命危機状態に陥った患者家族の精神的危機状態の特徴から考える生命危機状態に陥った患者の家族ケアについて示唆を得ることである。
倫理的配慮:A大学大学院倫理委員会の承認を得て実施した。
結果:インタビューの内容を分析した結果、対象者Aからは6個のカテゴリー、対象者Bからは10個のカテゴリー、対象者Cからは8個のカテゴリーを生成した。
考察・結論:看護職者の場合、さまざまなサポートや自身の医学的知識の活用によって、早期に家族の死を受容することが可能であることが示唆された。看護職者は自身のもっている医学的知識を最大限に活用し、代理意思決定の実施、リーダーシップ機能の発揮を行い、家族の状態把握に努め、予後をあらかじめ予測する。また、医学的知識があるため、容易に死因について疑義を抱く。どのような死因にしても、生命危機状態の患者の看護に携わる看護職者は注意深く観察し、家族に接しなければならない。そして、看護職者は家族の抱く苦痛をしっかりと見極め、苦痛の要因が何であるのか特定し、置かれている状況に合わせた苦痛緩和の看護活動に積極的に取り組んでいかなければならない。そして、代理意思決定やリーダーシップ機能を果たす役割を求める場合、家族の心理的負担を考慮したかかわりが重要である。