日本救急看護学会雑誌
Online ISSN : 2189-6771
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院内救急コール症例への初期対応の検討を通して見えてきた急変時教育の課題
五條 巧黒木 伸治江口 秀子内藤 綾
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2019 年 21 巻 p. 20-26

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抄録

本研究の目的は、院内救急コール発生時の初期対応について事例を検討し、課題を明らかにすることで、急変時対応の教育時に重要視すべきポイントの示唆を得ることである。 対象はA病院で院内救急コールが行われた心停止事例の6事例とした。6事例を心停止確認から心肺蘇生法開始までの時間差がない群(以下、時間差なし群)と、心停止確認から心肺蘇生法開始までに時間差のある群(以下、時間差あり群)に分け、事例の共通性、特徴を比較検討し、それぞれの対応の分析を行った。 6事例のうち、時間差なし群が2事例、時間差あり群が4事例であった。全症例において心停止の評価は呼吸状態ではなく、循環の評価が優先されていた。また、心停止の確認から胸骨圧迫開始までに時間を要する原因にはさまざまな要因があった。時間差なし群の発生場所は、いずれも院内救急コール要請事例が院内でもっとも多い病棟であり、急変発生時の行動の振り返りが定期的に行われていた。また循環器内科の病棟であり、退院指導の一環として、患者や家族に対してBLSの指導が行われていた。 事例検討から、院内救急コール発生時の初期対応の課題と急変時の教育時に重要視すべきポイントとして、脈拍確認よりも呼吸状態による心停止の評価の強調、心停止の確認から胸骨圧迫開始の判断、急変時対応の振り返りなどの定期的な教育の必要性が示唆された。

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© 2019 一般社団法人日本救急看護学会
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