抄録
総務省の方針に従い,現在ではほとんどの地方自治体が「統一的な基準」による「財務書類」をウエッブ上で公開している。それにより,いまでは誰でも地方自治体の財政状態や行政コストを分析できるようになった。ただしこのシステムを活用するためには財務書類の読解力が必要である。それはすなわち地方公会計教育に対する新たな需要の発生を意味する。であれば我々会計教育者はそれに応える必要があろう。その際,企業会計の専門家が地方公会計を学ぶメリットは大きい。なぜなら企業会計と地方公会計の対比を通じて多くの気づきを得ることができるからである。そしてここに地方公会計教育のヒントがあるように思われる。本稿では①地方公会計と減価償却の自己金融効果,②ROEのデュポン分解と地方公会計への適用可能性,③地方公会計における将来支出情報の開示について得た気づきを紹介している。地方公会計の教育方法を考えるうえで参考になれば幸いである。