2023 年 11 巻 1 号 p. 11_36-11_43
政府・非営利法人の会計の相違は貸借対照表に顕著に表れる。それを統一しようとする動きもあるが,筆者はそれぞれの組織目的に即した会計の特徴が純資産に現れていて,これを無理に統一する必要はないと考える。これを教授するにあたっては,一般複式簿記を想定しそこにおける純資産は資産負債差額に過ぎないと理解することから始め,次に,組織目的を満たす計算制度にするために純資産に下位勘定(構成要素)として資産を拘束する科目を設けることを理解させる。さらに資産を拘束する下位勘定を設けないのが政府会計の特徴であることを理解させる。そのような教育上の試みの目的は,さまざまな会計の相違を論理的に理解させることを目的としている。