抄録
様々な社会亀裂が政党を通じて選挙で表出された上で国民統合を実現することが政治の要請だとすると,韓国政治は最近,新しい局面を迎えている。第16代大統領選挙(2002年12月)において,従前の地域亀裂に加えて,世代や理念などの亀裂が顕著になり,西部地域・若年層・進歩派に主に支持された盧武鉉大統領は国民統合を国政課題に掲げた。本稿では,第17代大統領選挙(2007年12月)における有権者の候補者選択について,経済社会的な特性や理念的な性向に注目して明らかにし,韓国政治の変化と課題を展望する。
サーベイ調査に基づく分析の結果,地域・世代・理念などの社会亀裂は依然として有意な差をもたらしているものの,全般的に弱まり,李明博候補は国民から幅広い支持を得て当選したことが明らかになった。ただ,この変化は,盧武鉉大統領による国民統合の成果というよりもむしろ,格差問題が悪化する中で,雇用不安定層こそが李明博候補を支持したためである。李明博大統領は今,経済成長と格差問題の是正という相反するかもしれない2つの課題を同時に実現するという困難な国政課題に直面している。仮に前者が実現したとしても後者に繋がらなければ,今後,階級亀裂が現れるものと展望される。