選挙研究
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制度変化と地方政治
地方政治再編成の説明に向けて
砂原 庸介
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 26 巻 1 号 p. 115-127

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抄録

1990年代の選挙制度改革が,国政における政党システムや政党と候補者の関係を再編しつつあることはしばしば指摘される。しかし再編は国政だけで起こったのだろうか。本稿では,1990年代に進展した重要な制度変化である選挙制度改革と地方分権改革が地方政治にどのような影響を与えるのかについて,先行研究を概観しながら検討していく。そのうえで,1990年代以降に44の道府県で続けられた統一地方選挙における道府県議会議員選挙の結果を記述的に分析する。この分析から,選挙制度改革後に国政レベルで自民党に対抗することになった民主党が二大政党の一翼として地方政治を国政と同様に分極化させつつも,地方分権改革の進展とともに地方政治が実質的な意味を持つようになる中で,地方議会における選挙制度や地方政府の二元代表制という地方政治レベルの要因が存在するために,選挙区の集合体としての地方政治レベルでは国政に連動した再編成が必ずしも進んでいないことを指摘する。

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© 2010 日本選挙学会
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