選挙研究
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アメリカの連邦公職選挙における選挙運動手段の変化と政党の対応
吉野 孝
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 26 巻 1 号 p. 14-25

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抄録

本稿の目的は,アメリカ連邦公職選挙における選挙-政党組織関係の変化を分析し,その特質を解明することにある。同国の連邦公職選挙では,1950年代に至るまで,集票が固定的人間関係に基づいて行われ,政党機関が選挙運動をコントロールした。1960代にテレビの利用がはじまると,党大会の運営と選挙戦略の立案においてメディア専門家が全国委員長に取って代わった。1970年代以降,世論調査,メディア広告,ダイレクトメールなどの選挙運動手段が発達し,選挙コンサルタントが登場すると,候補者は自身の選挙運動組織を形成し,政党組織は周辺に追いやられた。1980年代に豊かな資金を背景に全国政党機関が選挙運動の表舞台に復帰したものの,2000年代になると,候補者はインターネットを用いて直接的な選挙民への到達を試みた。要するに,新しい選挙運動手段に対応する過程で,政党組織は選挙運動の重要な役割を喪失してきた。

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© 2010 日本選挙学会
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