抄録
2011年5月5日,英国では選挙制度改革の是非を問う国民投票が実施され,大差で否決された。本稿は,第1に,本国民投票に関する分析を,近年急速に進展している,より広い「選挙制度改革」分析アプローチのなかに位置付けた。第2に,2011年英国選挙研究(BES2011)の世論調査データを使用し,その投票行動を規定した要因を,特に投票前1カ月の変動に注目して分析した。多変量解析から,社会的属性や政党帰属意識,首相・ 党首評価,キャンペーン動員効果等との連関が確認できた。そして,今回の勝敗の帰趨を決することとなった投票前1カ月の投票意図の変動に対して,選択投票制それ自体の小選挙区制に対する有権者の優位性評価がその時期に低減していったことの影響を実証した。その上で,英国の選挙制度と民主政の今後について展望した。