抄録
本稿は1848年に制定されたサルデーニャ王国選挙法を,当時の穏健自由主義指導者の一人で,選挙法制定に関わっていたカヴールが選挙法制定に前後して発表した論考を参照しつつ,有権者の創造の観点から考察する。代表政治の確立をめざした憲法の公布を受けて制定された1848年選挙法は,厳しい選挙資格の制限により有権者は人口比2%に及ばなかった点で否定的に記述される。他方で,平等選挙の原則,秘密投票の原則を採用するなど積極的に評価すべき点もあった。選挙権の制限にせよ,平等選挙の原則,秘密投票の原則にせよ,有権者の創造と国民国家形成の意図が込められていた。本稿は,立憲体制を構築し,代表政治を確立しようとしたサルデーニャ王国が制定した1848年選挙法について,その要点を記しつつ,選挙制度に込められた有権者創造の意図について検討する。