2014 年 30 巻 2 号 p. 49-59
本研究では,投票を高度な意思決定過程を伴う社会的選択行動としてとらえ,個人的態度との関連を検討した。有権者を対象とした2波のオンラインパネル調査を実施し,次の2点,すなわちまず,投票の有無や投票に際しての熟慮,正確な投票行動(Correct voting)の自己認知と批判的思考態度の関連を,政治意識や他の心理社会的要因をふまえて検討した。また,選挙ごとの投票先の記憶と実際の投票先の一致・不一致にもとづいて同定した主体的Swing voterの特徴に注目して検討した。Correct voting認知に対する批判的思考態度の正の影響や主体的Swing voterにおけるリスク回避傾向の低さなど,投票行動やそれについての認知と個人的態度の関わりの一端が明らかとなった。