選挙研究
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既存政党の逆襲
オーストラリア連邦上院の選挙制度改革
杉田 弘也
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2015 年 31 巻 2 号 p. 109-122

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抄録

オーストラリアの連邦上院は下院とほぼ同等の権限を持ち,上院がどのような構成であるかは,下院の多数を占める政党によって組織される内閣の執政行為に大きな制約をおよぼす。2013年の下院総選挙と同時に行われた上院の半数改選は,偶然や幸運によって当選した候補者が現れるような結果をもたらし,これを受けてオーストラリア連邦議会の選挙問題に関する両院委員会は,上院の選挙制度について重要な改革案を2014年5月に提示した。本論文では,上院の選挙制度のこれまでの改変を概観し,2013年の選挙結果を受けた選挙制度改革の議論を検証していく。オーストラリアの選挙制度は,下院では政党の手を完全に離れている。一方上院の選挙制度は政党が大きな影響を及ぼすことができる分野であり,1949年と1984年の二度にわたって実施された選挙制度改革は,政党の利益を図る側面があった。2015年に行われている議論も,政党の利益が見え隠れしている。

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© 2015 日本選挙学会
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