選挙研究
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地方議会議員の憲法的意義と役割
議員定数削減問題と調査能力の向上に向けて
岡田 順太
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2018 年 34 巻 1 号 p. 106-117

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抄録

地方議会については,その存在意義を認めない住民意識が根強い。ただ,そもそも地方議会議員が「何をすべきか」についての憲法的考察が欠けていたのも事実である。そこで,議員定数削減論争を契機として,その背後にある構造的課題を明らかにしつつ,単純な削減論争が無意味であることを述べる。その上で,憲法的観点から,昨今の情勢を踏まえつつ,「組織化された」調査能力の向上が議会の存在意義の確立にとって不可避であることを示す。そこでは,政治的立場が異なる議員たちが,「書き言葉」を基礎とした事実発見をする過程である「委員会の論理」が求められる。この段階に至り,地方議会に対する不信感に満ちた民意を「修復」しつつ反映し,世論に翻弄されることなく民意の「説得」と統合をはかるという,憲法上の意義と役割を見出すことになろう。

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© 2018 日本選挙学会
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