本研究では,選挙によって選挙制度が異なる状態,すなわち制度間不均一が有権者に与える影響を分析した。日本には,制度間均一選挙区と制度間不均一選挙区が併存している。本研究ではその特徴を利用して,制度間不均一が有権者の政党差別化にどのような影響を与えるかを分析した。先行研究では,制度間不均一が選挙区レベルの政党間競争に与える影響に着目することが多く,有権者への影響は詳細に検討されてこなかった。世論調査データを利用した分析から,制度間不均一選挙区の有権者は,均一選挙区の有権者に比べて政党差別化の程度が低いことが明らかになった。同時に,そうした不均一の影響は,政治関心が高くなるほど緩和されることも明らかになった。