2016年参議院議員通常選挙福島県選挙区において,野党統一候補である民進党の増子輝彦が勝利し,現職閣僚(法務大臣)である岩城光英が落選した。現職閣僚の落選は,2010年参院選以来の出来事であった。安倍内閣は,内閣発足以降,原子力災害の被災地である福島に寄り添う姿勢を強調してきたことを考えると,岩城の落選はショッキングなニュースであった。本稿では,自民党の復興政策に対する評価が投票行動を規定したのか,福島県で実施した意識調査のデータを用いて検討した。その結果,政党支持をコントロールしても,自民党の復興政策を評価する者は岩城に投票する傾向があることが確認された。なお,岩城が接戦をものにできなかったのは,自民党支持者の中に元自民党国会議員である増子に投票する者がいたためであり,また政党支持を持たない有権者の復興政策評価が芳しくなかったためであった。