選挙研究
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新自由主義時代における利益団体の政策選好
山本 英弘
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 35 巻 1 号 p. 90-102

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抄録

本稿では,新自由主義的な政策が主流をなす現代社会において,利益団体間にどのような利害関係がみられるのかを,経済政策に対する選好という観点から明らかにする。そのうえで,政党や行政府といった政治的エリートとの関係,および,団体の政治的影響力や政策満足度について検討する。質問紙調査データから示される結果は次のようにまとめられる。団体の政策選好には,政府による保護志向と自由主義経済志向という異なる利益が併存している。そして,どちらの選好をもつ団体も与党や行政府といった政治的エリートの利益と一致していると認知している。もっとも,政府による保護を求める団体は政治的エリートへの働きかけを積極的に行うものの,政策満足度という点では十分な成果を得られていない。これに対して,自由主義経済志向の団体は積極的な働きかけを行っていないものの,政策に対して満足する傾向にある。

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© 2019 日本選挙学会
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