本稿では,これまでに行われてきたわが国の選挙研究を整理し,何が明らかになり,また何が課題として残されているのかを明らかにすることにしたい。具体的には,まず,選挙研究を「投票参加に関する研究」と「投票方向に関する研究」に分類した。そして,「投票方向に関する研究」を説明要因により,社会的属性による分析,政党支持による分析,争点態度による分析,政治信頼による分析,業績評価による分析,候補者評価•政党評価による分析,パーソナリティ•価値観による分析,政党スキーマによる分析,有権者以外の要因(選挙区特性,経済状況,マス•メディアなど)による分析に分類し,各系譜を体系的に再構成した。また,政党支持に関する研究や個別選挙に関する研究,選挙制度に関する研究についても整理した。最後に,我が国の選挙研究における問題点を踏まえ,今後の課題についても検討を加えることにした。