1994年の党首就任以来,トニー•ブレアは,労働党の組織,政策,そしてエトスまでも,「モダナイズ」し,さらに,首相就任後は,その標的をイギリスの政治制度そのものに据えて,「モダニゼーション」を追求し続けている。
この論文の眼目は,彼が労働党の何処をどのように改革し,その改革が90年代中葉の英国政党政治にどのような影響をもたらしたかを検証し,それが,政党制の変容状況を理解する上で,何を示唆しているかを明らかにすることにある。
分析にあたっては,「組織としての政党」「選挙民の中の政党」「政府としての政党」の3つの視座から考察する。最後に,英国政党政治のモダニゼーションとは,現代政党がその政治的機能を追求することによって実現される,いわば「ワーク•イン•プログレス」の概念であることを示し,結論とする。
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