選挙研究
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並立制における投票行動研究の統合的分析アプローチ
鈴木 基史
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2000 年 15 巻 p. 30-41,186

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抄録

本稿は制度論的な投票行動仮説を提示する。具体的には,選挙制度が政党のとる政策ポジションに影響を与え,そのポジショニング戦略が投票行動における争点と特性の相対的重要性および投票行動モデルの経験的妥当性を規定するという仮説を提示する。たとえば,相対的多数制(小選挙区制)は,諸政党の政策ポジションに中位収斂化圧力を与え,大きな選挙区規模と低い議席獲得のための最低得票率を設定した比例代表制は,そうした圧力をかけない。そのため,前者による選挙では,争点が希薄化し,投票行動は特性志向にならざるをえないが,後者による選挙では,争点は明瞭化し,争点志向の投票が促進される。本稿では,新選挙制度で行われた1996年衆議院総選挙のサーベイ•データを用いて仮説検証を行う。計量分析では,理想点モデルと特性モデルが掲げる投票決定因を兼ね備えた統合モデルを利用して,比例区と小選挙区の評価関数を同時に推定し,争点と特性の重要性を検討する。

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