本稿は政策評価尺度のうち「政策満足度」を取り上げ,その性格を「政策距離尺度」との対比において分析した。政策意見と政党選択を結びつける認知過程には,少なくとも,政党との政策距離とその政党の政策実現能力の認知は必要である。政策距離尺度は政策実現能力の認知を含んでいない。政策満足度はこの二つの要因を多かれ少なかれカバーして,ミッシング•リンクを埋める役割を果たしている。従って,政策満足度は政策距離尺度に比べ投票決定をより多く説明できる。最後に,政策満足度は一般的な政治満足度から見ると,その特殊型であるから,政府(政党)実績評価を表す変数としても扱うことができる。政治満足度と内閣期待度を従属変数とする回帰モデルに投入した場合でも「政策満足度」は有意な効果を示している。