2007 年 49 巻 9 号 p. 626-630
発電用の大型加圧水型原子炉(PWR)では,核分裂生成物であるキセノンが中性子をよく吸収することから,原子炉内でのキセノン分布の変化によって,出力分布が変動する場合がある。これを一般にキセノン振動と呼んでいる。キセノン振動が大きくなると,出力分布のひずみが大きくなり,局所的な出力が高くなるという不都合な状態になる可能性がある。このような状態に至る前に,キセノン振動を抑制する必要がある。キセノン振動の発生理由はよく理解されており,またその制御・抑制法も十分確立されているため,運転上の支障になることは全くない。しかし,いかに効率よく消滅させるかという観点からは理論的にも技術的にも興味のあるところであった。本研究では,一つの手法について開発・実用化を行った。