共催: 日本化学会, 日本化学会九州支部, 有機合成化学協会(協賛)
Meyersのピロリジノンエノラートのアルキル化反応の極めて高い面選択性(endo : exo = 99 : 1)に関しては多くの謎があり,MeyersやHoukらにより詳細な議論がなされている.反応活性種をアニオンと仮定し,「遷移状態における試薬とβ位水素との立体効果(torsional strain)」が選択性の起源であるとされている.我々は量子化学計算により系中に存在し得るエノラート化学種を詳細に検討した結果,リチウムエノラートが反応活性種であり,系中における最安定エノラートの濃度及びそのフロンティア軌道の広がりと接近空間の面差によって選択性が支配されていることを見出したので報告する.