2008 年 50 巻 8 号 p. 506-510
原子炉の水化学の分野では,過去24年余,研究専門委員会としての活動を続けてきた。「春の年会」と「秋の大会」での発表,討論に加えて,年間平均5回の研究委員会での技術討論を通して,地道に技術の共有化と普及を図るとともに,4年ごとの委員会の節目では,技術情報を委員会報告書あるいはハンドブックとして刊行してきた。
一方で,水化学は,燃料,構造材あるいは放射性廃棄物などと冷却水を通して密接に関わるため,プラント全体を俯瞰したシステム技術が要求されている。材料,核燃料,バックエンドの各部会が,組織的な活動を進める中で,各部会等との連携の重要性を痛感したが,現在の学会の部会,研究専門委員会の規定の中では,対外的な活動に限界があった。こうした背景のもと,研究専門委員会としての機動性を損なわず,部会活動を進める方策を模索した末に,昨年度,あらたに「水化学」部会として再発足した。本稿では,研究専門委員会としての活動の原点を振り返り,学会活動の一翼を担うため,新しい「水化学」部会がどう活動しようとしているかを紹介したい。