2009 年 51 巻 7 号 p. 541-545
地球温暖化国際交渉は,環境保護を第一目的として,善意の人たちが集まって,温室効果ガスの削減措置を検討しているのではない。「温暖化しない地球」という公共財供給に関する費用分担を,いかに他国に押し付けるかを目標とする冷徹な外交ゲームが繰り広げられているのが実態である。そうした地球温暖化対策を巡る国際政治の中で,京都議定書にどのような問題点があるかを解説し,現在争点になっている次期枠組みに関して,日本がどのような外交姿勢を示すべきなのかを検討する。