2009 年 51 巻 7 号 p. 546-550
東海大学は,2010年度よりエネルギー工学科を原子力工学科に名称変更し,再度,原子力教育を推進する予定である。これは,原子力利用見直しの機運の中で,原子力技術者を輩出することを明確に打ち出すことであり,これまでエネルギー工学科において継続してきた原子力教育を見直し,重点補強と肥大したカリキュラムのスリム化という相反する目的を満足させる作業を行ってきた。しかし,原子力工学科の学生募集を停止して以来,10年間に及ぶブランクのため,教育現場での原子力への重点回帰にはカリキュラムの修正だけでなく,ゆとり教育に対応した初年次生への原子力導入教育の手法,卒業時の実力確保の具体策など,新たな課題も明らかとなった。そして,それらに対して,原子力技術コースの導入や,原子力人材育成プログラムなどを有機的に組み合わせて「原子力マイスター」を育てることをキーワードに,原子力教育再活性化に向けた挑戦を行っている。